バイオインフォマティクスの広がり
電子化されコンピュータ上で扱えるデータが主に核酸配列とそれを翻訳して得られるアミノ酸配列だったこともあり、それらのデータ解析(配列解析)がバイオインフォマティクスと呼ばれてきました。その流れで書かれた教科書が我々が翻訳したMountのBioinformaticsです。 マイクロアレイの発明により遺伝子発現が網羅的に測定できるようになるとそこから得られた数値のデータもバイオインフォマティクスで扱うデータの対象となってきました。それを考慮して第二版のMountのBioinformaticsはマイクロアレイデータ解析の部分が加筆されています。 [amazon asin=4895924262&template=thumbnail] また、知識として蓄えられた代謝経路などのパスウェイのデータもバイオインフォマティクスとして認知されるようになってきました。現在ではそれらのデータは、人類共通の知的な財産としてWikipediaなどにまとめられ(Gene WikiやWikiPathwaysなど)、誰でも自由に使えるようにする流れになっております。 それらのデータを使ったシミュレーションもバイオインフォマティクス、さらには測定機器から得られるイメージデータのデータ処理もバイオインフォマティクスと呼ばれているのが現状だと思います。さらには、今後得られるであろう臨床データもバイオインフォマティクスとされていくのではないかと思います。つまり、ライフサイエンスを研究すること=バイオインフォマティクスになりつつあるのです。
[caption id="attachment_35" align="alignnone" width="300"] バイオインフォマティクスの範疇[/caption]