DrBonoBon2 foreword
Bono本第2版序文
「Dr.Bonoの生命科学データ解析」(Bono本)が出版された。
そして、序文が公開されている。 それが出版社のウェブサイトだけでなく、Amazonにも。 というわけでここにも掲載しておく。
改訂にあたって
「バイオインフォマティクスを教えてください」
そう言われて,私(Dr. Bono)は,2020年4月にこれまでの大学共同利用機関の特任研究員から,広島大学大学院統合生命科学研究科の特任教員に転職した。『Dr. Bonoの生命科学データ解析』(Bono本)を含めて,バイオインフォマティクスに関する執筆活動を評価していただいたからであろう。2020年度から「バイオインフォマティクス」を大学院生向け(卓越大学院プログラム)に講義担当することになった。
2020年はこれまでにないコロナ禍ということもあって,その講義はオンデマンド形式となった。初めて講義をする立場からすると,教わる側の反応を見ながら教えることができないという苦難の日々だった。その状況下で,2017年に出版したBono本が道しるべとなって講義準備を進めることができたのは幸いだった。終わってみれば全15回で合計19時間16分8秒,スライド数にして491枚の講義となった。授業を受ける側からすると,すぐに質問できないなどのデメリットもあったと思う。それでも,オンデマンドで繰り返し聴講することが可能な上に,講義の内容に即した教科書としてBono本が手元にあって,教わる側も,より理解を深められたのではないだろうか。
しかし,講義を一通り終えてみると,そのBono本が,出版から3年あまりを経て最新の情報でなくなっていることをなんとかしたいと思うようになった。最近のウェブサイトの常時SSL化(HTTPS化)に伴い,本に書いてあるURLではアクセスできなくなっているものも増え,また何より,3年の月日を経て次世代シークエンサーからの塩基配列データベース(SRA)は総塩基数が一桁変わってしまっている状況となっているからだ。
そこで,アップデート情報をどこかで公開することを考えもしたが,自分で執筆した本である。改訂版を出せないかと出版社に問い合わせたところ,歓迎していただき,このたびの改訂版の出版の運びとなった。
改訂版とはいうものの,章の構成はそれほど大きく変わっていない。しかし,細部まで見直して2020年代の現在でもそれが正しい記述であるか,またそれが利用可能であるか,その検討を行った。また,Bono本は教科書なので,コマンドライン操作などは当初から簡略に書いてあり,今回の改訂でもそこは特に変えなかった。しかし,LinuxコマンドラインがWindows Subsystems for Linux 2(WSL2)によってWindows10上でも利用可能となり,今後普及していきそうなことから,macOS以外の環境での利用にも配慮するように書き直してある。また,コマンドラインを使った実践的な内容に関しては,Bono本より後の2019年9月に出版された姉妹編の『生命科学者のためのDr. Bonoデータ解析実践道場』(道場本)への参照情報を追記した。本書を起点により深く学んでいただければと思う。
2021年3月 坊農秀雅
実は、初版の序文と書き出しが同じ「バイオインフォマティクスを教えてください」なのに、その後の展開が異なるという構成になっていたりするので、是非読み比べを。