I support Open Access

オープンアクセスと私

(2020年5月加筆)

オープンアクセス(Open Access)がこれほどまで広く、一般的になるとは思っていなかったのが正直なところである。 そうならないと科学の発展の妨げになると固く信じていたが、世界は変えられるのだな、と。

私個人は、2000年ごろからオープンアクセスを意識して研究を進めてきた。 オープンアクセスを支持するきっかけはStanford大とのマイクロアレイ共同研究だった。 マイクロアレイとは、スライドガラスなどの基盤上にDNAを貼り付け、それと相補的なDNA(やRNA)を蛍光標識することで検出するという実験技術で、それによって一度に数千から数万の遺伝子の発現をはじめとした定量が可能となった技術である。 マイクロアレイを使った研究では、多くのunfamiliarな遺伝子(これまでほとんど馴染みのない遺伝子)に遭遇する。 その遺伝子に関しての研究論文をすぐにインターネット上でみることができない(今で言うpaywalledなところにある)ため、せっかくの研究の流れがそこで止まってしまう。 それをなくそうというのがきっかけでPLoSを始めたのではないだろうかと思っている。

PLoSとは、PublicLibraryofScienceの略称である。 その名の通り、科学論文に対してpublicなアクセスを求める運動で、最近はPLoSではなくPLOSとなっている。

理化学研究所時代はあまり感じなかったが(IP addressによるサイトライセンスを多数取得してくれていたおかげで)、私立医大の研究室に移ってからは読みたい論文が電子化されているのに読めないフラストレーションに苛まれた(2000年代中頃当時)。 現在(2010年代)、図書の電子化がある程度進み、必要なjournal(Nature, Cell, Scienceなど)は研究室から自由に読めるような環境になってきたが、自分の出した論文やそれ以外の論文も制約なくその研究成果がオープンアクセスで公開されるべきである。 そういう経緯で坊農秀雅はPLOSに賛同する。 以下は坊農秀雅がPLOSを支持するということを表明するポスターで、PLoSの公式ウェブサイト上に掲載されていた。

I choose PLOS (Bono)

2020年の現在は、こんなポスターを掲示しなくても、オープンアクセスは周知され、一般的になったのではないかと思う。 そこで、本業の生命科学研究以外に、最近ではPLOSのみならずオープンアクセスからさらに進めてオープンデータを支持する研究者としても活動しており、それに関連する講演も多数行っている。

よりオープンな研究社会がやってきますように。


Written by Hidemasa Bono in about on 金 01 5月 2020.