Introduction to Medicine
はじめての医学
単行本「はじめての医学」を編集に携わられた編集者の方から年末滑り込みセーフでご恵贈いただいた(出版社のページ)。 著者は、かつての大ボスの研究室出身の木南凌先生で、面識はないもののよく話は伺っている先生。
目次をみると、よくある病気の概略と症例、治療薬、病態や薬効の説明が章ごとに、19の章でカバーされている。 医学の知識が体系的に、ではなく、「がん細胞と正常細胞はどこが違うのか(18章)」などのトピックベースに各章10ページほどで短くまとめられており、肩肘張らずに読むことができる。
本のカバーには、「はじめて医学を学ぶ人のナビゲーションBook」や「医学生だけなく、保健学科や生命科学系の学生、院生にも役立つ」と書かれている。 実際読んでみると、医者ではない生命科学研究者の私が持っている断片的な情報が、それぞれの疾患という観点から編み直されていく感じで知識が整理された。 また、難しい専門用語の解説が豊富でそれ以外にも平易な日本語表現になるよう徹底されており、学びはじめた医学生に向けたつもりが、保健学科や生命科学系の学生、院生向けにもなっているのを実感した。 自分が院生の時にこういう本があったらよかったな…。
章のタイトルは以下の通り。
- 第1章 「イライラ,ドキドキ」となるバセドウ病はホルモンの病気
- 第2章 上腹部の痛みや不快感を感じたら,胃潰瘍を疑ってみよう
- 第3章 どうして見えにくくなるのか,緑内障
- 第4章 うつ病は脳内の物質とどのように関係しているのだろうか
- 第5章 血液中の糖がうまく利用できない糖尿病
- 第6章 喘息ではヒューヒュー・ゼイゼイという呼吸音が聞かれる
- 第7章 貧血になると,どうして立ちくらみが起こりやすくなるのか
- 第8章 発熱と咳が長く続くときは肺炎を疑おう
- 第9章 肺結核という感染症には免疫系が関与する
- 第10章 メタボリックシンドロームはどうして体に悪いのか
- 第11章 血圧が高いとどうして動脈硬化を引き起こすのか
- 第12章 心臓に酸素を運ぶ血管が詰まってしまうと心筋梗塞になる
- 第13章 関節が痛んで動かせなくなる病気,関節リウマチ
- 第14章 ウイルスの感染が原因で起こる慢性肝炎とはどんな病気か
- 第15章 体内にたまった老廃物が排出できなくなる,慢性腎臓病
- 第16章 難聴:音が聞き取りにくくなるのはどうして?
- 第17章 遺伝する病気の診察ではどんな注意が必要か
- 第18章 がん細胞と正常細胞はどこが違うのか
- 第19章 高齢者:病気と生活の自立への配慮や介護を考える