非モデル生物から新規モデル生物へ
前職では、基礎と臨床を医学の研究をやろうということで、ノーベル賞を取った線虫(C.elegans)を使ったprogramed cell deathの研究が当時もてはやされていたこともあってそちら方面の可能性を探っていた(ちなみに、「きそ」と「りんしょう」の「いがく」の研究、ということで「きしょい」研究と銘打ってやっていたのだが、定着はしなかったようだ)。普段は土の中に潜っていて低酸素な環境に居るから良いモデルになるかも、ということで線虫を使った低酸素モデルでのトランスクリプトーム解析をマイクロアレイでやっていたものの、すでに先行研究があって別の系とのクロストークを探っていたのが10年前。 DBCLSに来てしばらくはDRY onlyだった。もちろん、データベースセンターなので、それが普通なのかもしれない。しかし、データベースの有用性を知ってもらうには、なによりも実際に使って上手くいった実例をあげていかないといけないと思うようになっていった。だが、単なるお手伝いではいけない。成し遂げるのに困難なのだが、バイオデータベースの専門家による手助けの恩恵が強い分野…これまでモデル生物とされてこなかった非モデル生物、もとい新規モデル生物におけるデータ解析研究ではなかろうか、と思うに至った。 その過程で、たまたま縁あって昆虫生化学者との共同研究が叶い、パーキンソン病モデルとしてカイコが使えるという論文を出し、さらにその続きの研究を今も進めている。 また、これまた縁あって癌や老化の新しいモデル生物として注目されているハダカデバネズミを使った研究にも関与している。ハダカデバネズミ由来のiPS細胞に関する研究の論文が出たところだが、それ以外の現象に対してもこの新規モデル生物でアプローチできないか、議論している。 それ以外にも要請あればいろいろとやっていきたいと思っている。自分の持っている研究できる時間は有限だけれども。