A new way of training students
新しい大学院生の育成方法
2021年4月に入学した博士課程前期の大学院生による以下の論文がbioRxivから公開された。 今回はなぜか通常は24時間程度で終わるbioRxivのスクリーニングに時間がかかり、uploadしてから60時間目にメールが来るというのはこれまでの最長記録だったが。
Comparison of Oxidative and Hypoxic Stress Responsive Genes from Meta-Analysis of Public Transcriptomes
https://doi.org/10.1101/2021.11.01.466837
公共DBから集めてきたヒト培養細胞の低酸素トランスクリプトームに対して先輩の大学院生が論文化した研究に引き続いて、酸化ストレスによるトランスクリプトーム変化のメタ解析を同様に研究してもらった。 酸化ストレスに関しては、また別の論文で昆虫に対して解析しており(実際はショウジョウバエとその比較対象の線虫)、今回はヒト培養細胞に対してそれを集めて解析しよう、というプロジェクトである。
これは、公共データベースのRNA-Seqデータの利活用を通して、On The Job Training (OJT) で、公共DBからデータを集めたり、それらをデータ解析したりという、ドライな研究手法の基礎体力を身につけてもらう狙いがあった。 しかしながら、学生さんがものすごく優秀で6月末までには一番難航が予想された酸化ストレストランスクリプトームデータのリストアップを終えた。 そこからRNA-Seqデータ解析パイプライン ikraを使った大規模なRNA-Seqデータ解析を開始。 ikraのおかげもあって夏の終わりにはそれを終えてしまい、メタ解析した発現データからわかることをまとめて生物学的に興味深い知見をまとめるフェーズに。 それを進めるにあたり、どうせなら、ということで論文化を念頭に研究を進めてもらった。 何回か議論を重ねた結果、驚くべき早さで、10月末までに英語の論文としてまとまった。 そこで、今回もまずプレプリントとしてbioRxivで公開した上で査読論文雑誌に投稿するというスタイルで。
今後がとてもとても楽しみである。