One good turn deserves another

データ公開は人のためならず

これまで自分が出してきた論文では、公共塩基配列データベース(DDBJ,Sequence Read Archive(SRA))や遺伝子発現データベース(Genomic Expression Archive (GEA)など)の公共データベース(公共DB)に入れられるものは全部そこに登録してきた。 今月(2021年5月)に出版されたアマミ(オキナワ)ナナフシ(Entoria okinawaensis)論文

De novo transcriptome analysis for examination of the nutrition metabolic system related to the evolutionary process through which stick insects gain the ability of flight (Phasmatodea). https://doi.org/10.1186/s13104-021-05600-0

で公開した配列データと発現データは、DDBJからニュースとして出していただいた。

また、それらの公共DBに入らないデータに関しては、figshareNBDCの生命科学系データベースアーカイブに登録して付与されるDigital Object Identifier (DOI)で引用できるようにしてきた。

つまり、データ公開を徹底してやってきていた。

しかしながら、今月(2021年5月)に出版された低酸素刺激の有無(低酸素vs常酸素)のトランスクリプトームデータとgene2pubmedの情報を使ったビブリオーム(bibliome)データを統合したメタ解析を行った研究の論文

Multi-Omic Meta-Analysis of Transcriptomes and the Bibliome Uncovers Novel Hypoxia-Inducible Genes. https://doi.org/10.3390/biomedicines9050582

は、公共DBを利活用する研究のためデータ登録はなく、むしろ公開してもらった恩恵をうけた研究であるが、実はその解析結果や解析に用いたプログラムはそれぞれ、figshareGitHubで公開している。

なぜこういったデータやコードの公開をやるのか。 それを見てくれる人のためはもちろんのこと、ひいては自分たちのためになるという考えだからである。 そうすることで科学の進展が加速することを願っている。


Written by Hidemasa Bono in misc on 月 24 5月 2021.